バリ島と言えばサ-フトリップ先として真っ先に名前が挙がるが、バリ島の魅力はサ-フィンだけではない。
一般的にはあまり知られていないが『カジキ』だって釣れてしまうことがあるくらいフィッシングにおいて も魅力溢れる島なのだ。
当時、サ-フィンの発展と国際交流を目的に1989年より10年以上続けてきた日本インドネシア友好親善試合 『KUTA BEACH SURFING FESTIVAL』も90年代後半に入るとバリ島を中心に大サ-フィンブ-ムが巻き 起こり、リップカ-ル、クイックシルバ-、ビラボンなどのインタ-ナショナルブランドが次々に参入し、 クタビーチやレギアンビーチのメインストリ-トにプロショップが軒を連ね、国際大会も頻繁に開催される ようになってきたことから弊社もその役割を終えたところであった。
その頃、クタビーチローカルサ-ファ-の間では密かにフィッシングも人気となっていて、フィッシング コンテストを開催しないかとオファ-をいただいていたのである。
私も幼少の頃から釣りを趣味としていたので一応3年間という期限付きで応援を約束した。
結果、『クタビ-チ フィッシング ト-ナメント』は毎回賑わいをみせ好評を博していたので、
2年延長して2011年から2015年まで5年間続いた人気のイベントとなった。
元々はローカル主催のフィッシングトーナメントが2006年に行われ、5年の歳月を経て2011年、 海外からの参加者も招きインタ-ナショナルイベントとして大々的に蘇ったのである。
バリ島全土から腕に自信のある漁師がクタビ-チに集結し熱い戦いが繰り広げられた。
2011年、朝まずめからスタ-ト地点のクタビ-チにはジュクン(バリ式カヌ-)が所狭しと並び、 スタ-トホーンの合図を待っている。
25艘のジュクンが波打ち際に横一列に並ぶ姿は圧巻そのもの。
制限時間は8時間、エリアの制限、手法の制限はなし。
賞金と名誉を掛けた熱い戦いが午前7時のホーンと共に火ぶたが切って落とされた。
ここまで大々的なフィッシングイベントはバリでも初めての事でTV局や新聞社などマスコミも殺到し、 その模様はインドネシア全域に放映された。
対象魚によってポインが設定されており、目方によってその点数が掛けられ総得点数によって勝敗が決まる。
そして、何と地元の猛者を抑えて第4回大会を制したのは神奈川県から参加した日本人チ-ムであった。
夜には表彰式が行われ、釣り上げられた新鮮な魚は刺身や網焼きにして地元に人々に振舞われた。
バリ伝統舞踊も披露され、飲んで踊った宴は夜更けまで続いた。
余談となりますが2013年の第4回大会では『あやしい探検隊』などの作品で知られる小説家の椎名誠氏率いる 「怪しい雑魚釣り隊」が参戦し大いに盛り上がりました。
http://www.surfmedia-tk.co.jp/dateline/fishing2011.html
<2021第1回大会参加チ-ム>
1.BOBBY G-LAND TEAM
2.KUNDAK TEAM
3.RAJIN TEAM
4.BAMBAM TEAM
5.DEK TIN TEAM
6.MD.ARTHA TEAM
7.DESIN TEAM
8.KEKER IVAN TEAM
9.KLEMPUNG TEAM
10.YAN KARA TEAM
11.MD.SWITRA TEAM
12.DINAK TEAM
13.WY.PICA TEAM
14.NYM.DAWA TEAM
15.PAUL&DEDE TEAM
16.WIK AJUS TEAM
17.CUPAK TEAM
18.MK.DARWA TEAM
19.FILA WEST TEAM
20.TIRAH ARI TEAM
21.ONDEL JIMMY TEAM
22.KOMING HASHIBA TEAM
23.JODI TEAM
24.KT.DI YOSHIDA TEAM
25.POTAZ TEAM
おまけ
以前、フィジ-の無人島に訪れた時のお話し。
フィジ-本島の沖合20kmほどにある小島にサーフキャンプがあると聞いてさっそく出掛けてみた。
キャンプ正面にはミニチョプ-のような底掘れするレフトハンダ-が浅い棚に炸裂していた。
近くには初代キングコングのロケ地となった壮大な山がそびえたち、島と島の間は深いパスと なっており大型回遊魚の通り道となっていた。
夕まず目を待ってニュ-ジ-ランドから来ていた白髪のご老人とトロ-リングに出掛けてみた。
まず、ポイントへ向かう途中にさっそく私のリールがギギギギ-とけたたましい音を上げながらラインが 勢いよく出て行く。
これは期待できると竿を立ててフックを確認すると今まで経験の無い重みが竿を 通じて伝わてくる、体全体でそのパワ-を受け止めて必死に抵抗したがドラッグの調整が追い付かず バレてしまった。
巻き上げてみると大物用のぶっといフックが何と伸びきっていて外れたのである。
痛恨のミスを犯してしまった。 その後、さっぱり当たりはなく日が傾きかけ日没が近づいてきた。
最後の一周となったとき、老人の竿がしなった。
ラインが一気に沖へ出て行く。 老人はポッピングを繰り返しながら徐々に獲物を手繰り寄せている。
そろそろ魚影が見えてくるころだと思ったその時、いきなり竿先が海面に引きずり込まれた。
その様子を隣でうかがっていたボートキャプテンが慌てて老人の体を支える。
海面を除くと、2m近い大サワラが老人のルア-に掛かっていたツナのテールに噛みついたのである。 噛み切られたテール部分から大量の血の帯が、その直ぐ後ろに大サワラの姿が写った。
すると突然、大サワラは急転回して逃げたのである。
何と大サワラを遥かに超える大型の魚影が海底から 浮かび上がってくるではないか。
サメである、しかも4メートルはあろうかという巨大なサメに一同フリ-ズ。
ボ-トキャプテンは老人から竿を取り上げ高速でリールを巻き上げる。
それを追って巨大なサメが我々が乗る小型ボートめがけて追ってくる。
恐怖以外の何物でもない、このまま体当たりでもされたら全員海に投げ出されてしまう。
ボ-トッキャプテンは間一髪でリールを巻き上げ、テールがカットされたツナが船のデッキに上げられた。
目標が目の前から消えた大型のサメはそのまま追いかけるのを諦め深海の底へと消えていった。
ツナのテールから流れ出た血の匂いを嗅ぎつけ海底から上がってきたのであろう。
おしまい。